「中期経営計画」の作り方とは?

2021年01月26日   

こんにちは。
一般社団法人 寺子屋カレッジ 代表理事の吉田です。

みなさんは「経営計画」を立てていらっしゃいますか?
前回は「経営計画がなぜ必要か?」ということについてお伝えいたしました。
今回は「中期経営計画」の作り方をご紹介します。

「中期経営計画」の作り方とは?

Step0. 長期経営計画をもとにした経営トップからの方向性(指針)を全社に共有する

経営トップは設立趣旨に立ち戻り自社のビジョン・ミッション・バリューを明確にし、わかりやすい形で社内に伝えます。

また、長期経営計画をもとに中期(3-5)で目指す方向性を共有します。

ビジョン(vision)   実現を目指す、将来のありたい姿のこと

ミッション(mission) 企業が果たすべき使命・目的・存在意義

バリュー(value)   具体的な指針・価値観

 

Step1. 環境分析(クロスSWOT分析)で情報整理をする

 

外部環境の調査をして、機会と脅威を把握します。(PEST分析、5Force分析※ほか)

合わせて内部経営資源の強み弱みを把握します。(VRIO分析※ほか)

内部要因「強み」「弱み」と外部要因「機会」「脅威」をそれぞれ掛け合わせることにより、

取り得る戦略を分析することが可能です。

 

 

Step2. 全社戦略の方向性を決める

まずは「全社戦略」を練ります。

将来に向けて、企業が成長するための戦略を検討する

フレームワーク(アンゾフの成長戦略)を使うのがおすすめです。

「製品」と「市場」を軸にしたマトリクスで、

既存製品を今の市場でさらに販売し続けていくべきか、

もしくは新しい市場に出るべきかなど、

自社がどのような方向性で成長を目指していくのがよいかを探ります。

4つの成長マトリクス>

特に「多角化」に関しては、自社の強みを活かして攻めるために、

必要に応じて他社との事業提携やM&Aも視野に入れて検討することもあります。

特にタイミングが大事であれば、自社の力だけでなく、他社の力を利用してでもスピードアップを図ることが重要になります。

 

 

Step3. 具体的な戦略を練る

この全社戦略でどのような方向性に進むか決まったら、

次は具体的な作戦である「事業戦略」や「機能別戦略」を練ります。

事業戦略の中でも「競争戦略」はアメリカの経営学者であるマイケル・ポーターが提唱した戦略です。

他社とは違う独自の戦略を取り、業界内で自社にとって優位なポジションを確立することで生き残りを目指します。

戦略については、「経営戦略」のコラムでご紹介します。

 

 

Step4.行動計画に落とし込む

策定した戦略に基づいて、誰が何を行うのかという具体的な行動計画に落とし込みます。

また、数値計画(売上・利益・費用・資金など)を立てます。

行動計画と数値計画の整合が取れるようにします。

また、数値計画はある程度高い目標であるものの、

実現可能性があるレベルに設定されているかを確認します。

最初に行った環境分析や市場調査、競合調査などのデータを使って検証すると

客観的な視点で確認することができます。

「中期経営計画」を立てるときのポイントとは?

1.共有する、振り返る、修正する

計画は立ててそのままでは意味がありません。

しっかりと実行に移すとともに振り返るしくみを作ることも大切です。

社員に共有し、進捗管理を行い、実際の活動と計画にギャップが生じていないかを確認する。

半年に一回の定期的なレビュー会議などで問題点がないかを確認して、

必要があれば計画を修正する、というPDCAのサイクルをしくみ化してしまうこともおすすめです。

 

2.「攻め」だけではなく、「守り」も忘れない!

計画というと前に進むためのもののように考えてしまいますが、

企業の中期経営計画においては「守り」

いわゆる「リスクマネジメント」についても考えることが大切です。

例えば、生産性を上げるためにIT化を進めるとか、

天候不順や災害時にどのような対策をとるか

といったことも計画として明確に策定しておくことが必要です。

特に地震や台風、コロナの影響などでも重要性が再認識されたBCPは、

Business Continuity Plan(BCP・事業継続計画)と言って、

「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合、

事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を

可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、

手段などを取り決めておく計画(中小企業庁HPより引用)」のことです。

災害のために立てていたBCPを用いてコロナ禍でも事業の多大なダメージを少なく抑えられたという企業もあります。

具体的に何を決めておくのかといった例も中小企業庁HPに掲載されていますので

リンクをご紹介いたします。

中小企業BCP策定運用指針 ~緊急事態を生き抜くために~(中小企業庁ホームページ)

 

 

今回「中期経営計画の作り方」についてお話致しました。

なかなか時間がとれない、、とっつきにくいという方も多いかもしれませんが、

まずは、作ってみるということが大切です。

できた計画を活用することも大事ですが、

そもそもの経営理念に立ち返る、将来の目指す姿を共有する、

社内資源を見直す、外部の環境を分析する、

など策定するための工程そのものが社員のやる気を引き出すことも多いです。

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